巡礼魂!
(the sprit of pilgrimage)

仏議  3


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仏教文化の玄関口〜 福井/小浜市 神宮寺他 〜
2009年9月14日
 福井県小浜にある寺院巡りに行きました。数年前に一度、この地を訪問し、寺院を数か所参拝しました。今回はその第二弾ということで、久し振りの小浜です。車で「鯖街道」を行くこと2時間、小浜の地へ到着。最初に訪問したのが、神宮寺。東大寺二月堂の「お水取り」という行事がありますが、そのお水はこの寺院の水を利用するとのこと。本堂内には、薬師様を中心に、十二神将、千手観音様が安置されておりました。次に向かったところは、萬徳寺。ここは小浜藩主が愛でた庭園が特徴的で、庭園から伸びる石段上に素木造りの阿弥陀様が安置されていました。次に訪問した寺院は、羽賀寺という寺院。ここの十一面様は仏像写真集によく掲載されていて、比較的有名な仏様ですが、写真と実物がこうも違うものかと思うほど、実物の迫力に感心してしまいました。最後に多田寺。東洋のビーナスと称された白鳳期の十一面様は唐招提寺にある木彫仏のように西洋的な神秘さをもっており、さらに中尊の薬師様は一木造りの重厚感が感動ものでした。。。 前回、明通寺・若狭国分寺・円照寺に巡拝したときと同じ感想ですが、とにかく古仏が多くて、地方仏とは思えないほど、その仏様の造りが精緻です。ここ小浜は「海の奈良」とよばれているそうで、その言葉を聞いただけで、いちいち説明を聞かなくても理解できてしまいます。かつて、大陸との玄関口であったこの地方は、中央政府へ文化・モノが入ると同時に中央と同じ文化水準をもつ地域に変貌していったのかな〜と想像しました。現在の港町を考えると、その理屈は容易に理解できます。往年の一大仏教文化の面影をこれら点在する寺巡りをすることで、だんだんわかるところも、今回の小浜巡礼の魅力のひとつでした。

不思議な機縁 〜 滋賀/大津市 葛川息障明王院 〜
2009年9月14日
小浜寺院へ巡礼するため、琵琶湖の湖西部を通る道路『鯖街道』に車を走らす。景色が山間に差し掛かり、整備されている道の両脇には、険しい山々が車を包み込もうとするような威圧感が漂ってきた。そのような雰囲気のなか、滋賀県にあるとある寺院を訪れる。寺院の名前は「明王院」と言い、通称名は「葛川明王院」とか「息障明王院」とか言われている。回峰行の創始者・相応が現在の寺院付近(三の滝)で不動明王を感得し、桂の古木に千手観音を刻んだことに由来する。そのため、この寺院は、超人的な荒行である回峰行の行場でもある。参道入口にある数台分の駐車スペースに車をとめ、本堂に続く橋をのぼるとあいにく本堂は大がかりな修理を施しているみたいで、付近にも立ち入ることができない状態。仕方なく、納経帳に御朱印をもらった後、寺院を立ち去ろうと、寺務所へ向かう。寺務所からご住職の奥さまが対応いただき、寺務所を上がって直ぐの部屋に仮安置された不動明王様を参拝することができた。その間、奥様は私の納経帖へご朱印をして頂き、参拝を終えた私へ納経帖を渡してくれた。これで、寺院の参拝が終了し、次の小浜寺院への巡礼へと向かうとおもっていた。。寺務所の玄関で靴をは履きかえようとした瞬間、寺務所の玄関に飾られている木の置物の一部が「ガタン」と大きな音をあげて床に落ちた。最初、私は何が起きたか理解できなかったが、その後、原因がその木の置物だとわかった。壊れているようではなく、元に戻せそうな状態なのだが、木の置物の一部をどこに直せばよいのかわからず、困惑していたことろ、奥さんが私のもとに来られて、それ元に戻していただいた。それから、寺務所にある木の置物の話を皮きりに、木に生命が宿っている話に派生していった。とても興味深い話で、私もどんどん聞き入ってしまう。そして、次に奥さんは、この寺院へ嫁いだときの体験を話された。山間深いこの寺院に嫁いできた当初は、この寺院の世話をしていく自身がなく、何度も挫折をしたらしいが、その時、夢のお告げか現実か・・・不思議な体験をされたという。それは、白い服を着た老人が奥さんのそばまでやってきて、「大丈夫。私がそばにいるから」と告げたという。それから、その言葉で奥さんの挫折がなくなり、数十年の今日までこの寺院のお世話をしてきたという。私は、この奥さんのお話することに深い理解と共鳴を覚えた。ホラーではない、何か神がかり的なものがこの世の中にあって、それは、自身が何かにすがるような甘えの「神」ではなく、自身が前進するために後ろから勇気づけてくれるような、気合いなど精神を注入してくれる「神」である。「ここには仏様がいらっしゃる」と数十年の体現を私たちに伝えくれたこと。そして、そのきっかけは、このタイミングで「ガタン」と音をさせた木の置物であること。貴重な話を私に教えてくれたのはこの絶妙な機縁・・・これもまた神がかりな出来事のように思えた。

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