巡礼魂!
(the sprit of pilgrimage)

仏議  13


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 森厳なる仏様との再会 〜三重/伊賀市 観菩提寺〜 
2015年11月3日
 三重県伊賀市にある観菩提寺の御本尊様が33年に1度の御開帳と聞き及び、足を運ぶ。出発時には、晴れ間もあった天候も、京都の山間を抜けるうちに曇天へと変化していく・・・私にとって、観菩提寺へ向かうのは、これで2度目となる。。前回の訪問は約8年前。その頃、数多の仏像を拝観し、仏像写真集で各地の仏像を眺めていた私に衝撃的な”仏像”が目に飛び込んだ。それは、眼光鋭く、口は;への字に曲がり、額はとても広い十一面観音様で、面持ちだけでなく、通常の十一面観音様とは異なり、腕が六本(通常は二本)あるというとても異様な佇まいの仏像。私はその”異様さ”に神秘的な力を感じ、その当時、直接お会いしたいと考えた。その仏像がおわす場所〜それが伊賀の観菩提寺だった。このお寺は、東大寺の”お水取り”の発祥地でもあり、通称は『正月堂』という。1260年続く修正会(しゅうしょうえ)は、全国的にも知られているという名刹とのこと。残念ならが、当該仏様は秘仏のため、前回訪問した平成19年には、直接お会いすることなく、残念な想いをした。しばらく、その”残念さ”と「直接拝観したい」という思いは、自身の胸中に『わだかまり』として、数年間残っていたが、その数年後の平成22年、大津の近代美術館で開催された「白洲正子生誕100年特別展」を見に行った折、奇跡的な偶然が起こる。33年に一度だけ拝観できる観菩提寺の十一面様が、その開催に併せ、おわしたのだ。この展覧会で、まったく予期していなかった偶然が、胸中の”わだかまり”から”喜び”へと変えさせ、思わず、その仏前に数十分間手をあわせていた。・・あれから5年が経過し、再び観菩提寺に赴き、拝観する機縁を頂戴した。それは、「お寺でちゃんとした形で拝観するのが、仏様に対する礼儀だ」と私が感じたから。5年前に仏様から受けた感動を、今度は私が応える番だと、いざ、観菩提寺へ向かう。前回、閑散とした観菩提寺(正月堂)は約1週間の御開帳期間ということもあり、拝観者でにぎわっていた。小さな本堂(正月堂)は拝観の順番を待つ人の列であふれている・・。ようやく、堂内にはいると、うっすらとした明かりに、開かれた正面の厨子から、森厳なる十一面様がおわす。正に『人ならざる者』は『人を超えた神秘的な存在』として、再び私の前に化現された。お寺でみる仏様のちからは、5年前に拝観した力よりも強く、ビリビリと私にも伝わってくる。薄明りから拝見した神秘的な面持ちは、古えからの人々の祈りを力にかえ人々を救うための強い意思を表しているかの様だった。堂外から山門を出て見上げると、寺域の真上だけが晴天で、その周辺は曇天という不思議な天候・・・仏様も拝観を祝福してくれているように感じる。

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